食いしん坊のわたしは、ふと時間ができたら食べ物のことばかり考えてしまう。「今日のお昼は何食べよう」から始まり、おやつ、夜ごはん、明日の朝ごはん…と止まることを知らない。
食事のことだけでなく、無添加のベーコンはどこで買えるのだろう?とか、野菜の定期便ってあるのかな?とか、朝起きてから寝るまでの間、ずっと食べものについて考えているといっても過言ではないように思う。
そんな感じで食べものについて常に頭をぐるぐる働かせているので、夜ごはんに何を食べよう、は早い時は前日の夜から考えている。この日は、少し前に買った秋鮭を塩麹と味噌で漬けたものが冷蔵庫にあったので、鮭を焼こうと考えていた。残りの献立は、翌日に冷蔵庫の中身と相談しながら決めた。
味噌汁の具は適当に、あるものを。ちぢみほうれん草の甘味と、しいたけの旨味が混ざり、非常においしいお味噌汁であった。ごはんは新米のひゃくまん穀を、長谷園の味噌汁鍋で炊いた。糠漬けを添えて、あとは、だし巻きを並べる予定だった。そう、右上の、器に入ったものがそれだ。
出汁を引いて、味付けをして。銅の卵焼き器を久々に取り出して油を引いた。よし、卵を割り入れて…と冷蔵庫を確認すると、なんとひとつしかない。ふたつあると思っていたのに、大誤算だ。今から買いに行く?ごはんも炊けて、あとは出汁巻き卵だけなのに?ええい、やってみせよう、出汁:卵=3:1の超ふわふわの出汁巻きを作ってやる!
…薄々分かってはいたが、もちろん、成形できなかった。出汁が多すぎた。卵は固まるが、卵に仕舞いきれない出汁がじゅわじゅわ出てくる。じゅわじゅわ出てくる出汁がどんどんたまり、ついに卵がふわふわと浮いてしまった。なんだこれ、だし巻きとはほど遠く、茶碗蒸しとも言えない、出汁卵。
少し前までは、失敗をひどく恐れていて、こういった失敗があるとひどくイラついたものだった。しかし、ここ最近は「これも家庭料理らしさよね」と構える器量(?)が育ってきた。出汁卵、いいじゃない。つい先日炒ったごまがあったので、ごまをぱらりとかけて食卓へ並べた。
ふだんの外食で食べられないような、こういった料理ができるのが面白い。もちろん失敗することもあるが、それもまた一つの、家庭料理らしさ。おいしいと言って食べてくれる夫がいるから、どんと構えることができるようになった気がする。
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